むちうち

むちうちは、首まわりの筋肉や靭帯、神経などの組織を損傷している状態です。
損傷箇所によって種類をわけることができ、症状も異なります。

●頚椎捻挫型

一般的にむちうちと呼ばれるタイプはこの頸椎捻挫型に当てはまります。
首まわりの筋肉や靭帯の損傷がしているため、首や肩に痛みが生じます。
また、首の動かしにくさや頭痛などの症状が現れることもあります。

●脊髄症状型

首を通る脊髄や神経が損傷しているタイプです。
脊髄や神経の損傷により、下半身に痛みやしびれ症状が現れることがあります。

●神経根損傷型

頸椎の神経の根元である神経根が損傷しているタイプです。
手指のしびれや知覚障害など神経症状が現れるという特徴があります。

●バレー・リュウ症候群型

首まわりと通る自律神経が損傷しているタイプです。
自律神経のバランスが崩れ、頭痛やめまい、耳なり、吐き気など自律神経失調症と似たような症状が現れるようになります。

●脳脊髄液減少症

硬膜という脳や脊髄を覆っている膜が破れてしまい、脳脊髄液が漏れ出てしまうタイプです。
頭痛やめまいなどの症状が現れます。

むちうちが起こりやすいシーンや、おもな症状についてご紹介します。

●原因

むちうちは、大きな衝撃を受けることで頭が揺さぶられ、頭を支える首に大きな負担が加わることで発生します。
むちうちは、次のような場面で起こりやすいです。

・交通事故

交通事故の中でも、車同士や壁などの物にぶつかる衝突事故では大きな衝撃が身体に加わります。
その衝撃によってむちうちが起こることが多いです。

・コンタクトスポーツ

ラグビーやアメフト、柔道などがコンタクトスポーツです。
コンタクトスポーツでは選手同士がぶつかるため、衝撃によってむちうちが起こることがあります。

・尻もち

高齢の方は足腰が弱く、尻もちをついてしまうこともあるでしょう。
尻もちをついたときの衝撃でむちうちになってしまうケースもあります。

●症状

首まわりの組織が損傷しているため、首に痛みが生じます。
神経を損傷していれば、手足のしびれや筋力低下などの神経症状が現れます。
また、自律神経の乱れによって倦怠感やめまい、吐き気などの症状が現れることもあります。

むちうちと類似する症状が現れる病気には、次のようなものが挙げられます。

●頚椎症性神経根症

椎間板ヘルニアや骨棘形成などによって、神経根が圧迫される病気です。
片側の首や肩、腕や手指に痛みやしびれなどの神経症状が現れます。

●頚椎症性脊髄症

加齢による頸椎の変性などが原因で、脊髄が圧迫される病気です。
おもに上半身に痛みやしびれ症状が現れ、手指に力が入りにくくなることがあります。

●関節リウマチ

自己免疫疾患で、関節に炎症が起こる病気です。
脊髄に炎症が起こった場合、むちうちに類似した症状が現れます。

●脊髄腫瘍

脊髄神経や、それらを包む硬膜や脊椎から発生する腫瘍の総称です。
脊髄に腫瘍が発生すれば、むちうちに類似した症状が現れることがあります。

当院におけるむちうちのおもな施術方法は、次の通りです。

●ハイボルト・立体動体波

受傷直後は急性の炎症を起こしています。
そのため、患部に触れて施術を行えません。

しかし、ハイボルトや立体動体波は、急性症状にも施術が可能です。
神経の興奮を抑制する作用があるため、痛みの除去が期待できます。
また、首まわりの過緊張を和らげることで、早期回復を目指します。

●保存療法

むちうちの場合、急性期には保存療法が中心になります。
損傷箇所を無理に動かさないようにし、回復を目指します。

●ゼロ整体

痛みが改善してくる慢性期からは、ゼロ整体の施術を行います。
ゼロ整体は、ゆがみを整えて身体にかかる負荷をゼロにするための施術です。
ゼロ整体をすることで首にかかる負荷が軽減されるだけではなく、これまでのゆがみを改善することも可能です。

むちうちの施術期間と施術過程は、次の通りです。

●急性期

急性期は、患部が炎症を起こして、痛みなどの症状が強く現れる時期です。
受傷から2か月ほどは急性期の施術を行います。
急性期では保存療法が中心になります。
ただし、炎症や痛みが強い場合にはハイボルトや立体動体波で痛みの除去を行います。

●慢性期

炎症や痛みが落ちついてくる慢性期からは、慢性症状の緩和を目指します。
施術期間には個人差がありますが、6か月が目安です。
筋肉の過緊張を和らげながら、ゼロ整体でゆがみを整えていきます。

むちうちは後遺症として残ってしまうこともあるため、早期から適切に対処することが大切です。
症状の経過によって対処法が異なるため、状態に応じた対処を行ってください。

●頸椎カラーで固定する

受傷直後の急性期には、頸椎カラーの使用をおすすめします。
頭の重さが首にかかりにくいため、悪化予防や早期回復につながります。

●急性期は安静にし、冷やす

急性期は炎症や損傷が悪化しないように、安静にすることが大切です。
患部の痛みや熱感が強い場合には、冷やして炎症を抑制します。
保冷剤や氷水を入れたビニール袋をタオルで巻き、15分ほど冷やします。

●慢性化したら温める

痛みが慢性化してくる時期からは温めます。
温めることで筋肉の過緊張が和らぎ、痛みや動かしにくさが緩和されます。
入浴して楽になったと感じていれば、慢性化してきていると判断できます。

●寝姿勢や起き上がり方に注意する

寝るときには、首に負担がかかりにくい寝姿勢で寝ましょう。
上向きに寝ることがおすすめです。
また、痛みがある場合、手で首を支えながら起き上がるようにしてください。